いったん「下級国民」に落ちてしまえば、「下級国民」として老い、死んでいくしかない。幸福な人生を手に入れられるのは「上級国民」だけだ──。これが現代日本社会を生きる多くのひとたちの本音だというのです。(まえがきより)
今年になってネットで一気に広まった上級国民/下級国民という言葉。
話題のきっかけになったのが、2019年4月に東京・池袋で起こった87歳の男性による暴走運転事故。
事故を起こしたのが元高級官僚で、逮捕されなかったり、”さん”づけされたりして問題になりましたよね。
「日本社会は上級国民によって支配されている」
「自分たち下級国民は一方的に搾取されている」
様々な意見がネットで飛び交いました。
そんな中、2019年9月下旬に発売されたのが、橘 玲さんによる本書になります。
橘 玲さんはベストセラー「言ってはいけない」シリーズや「黄金の羽の拾い方」などの作品が有名です。
物申す系といいますか、社会に対して「忖度」しない内容に痛快さがある、個人的に大好きな作家さんです。
本書では他書籍や、公式の統計からの参照などの「エビデンス」をもとに、どのようにして「上級国民」と「下級国民」に分断されていったかを解き明かしています。
本書は
・「下級国民」の誕生
・「モテ」と「非モテ」の分断
・世界を揺るがす「上級/下級」の分断
と、大きく3部の構成になっています。
ざっともくじを見てみましょう。
・日本のサラリーマンは世界で一番会社を憎んでいる。
・ひきこもりは100万人ではなく500万人?
・中高年ホワイトかカラーの失業はわずか5万人。
・ヤンキーとエリート
・令和の最初の20年で起きること
・下流は「学歴格差」
・若い大卒男性の幸福度は低い
・アメリカ社会の分裂
もくじからでもうかがえますが、本書では公に知られてる事実から、実は事実の裏にある真実までつつみ隠さず書かれています。
上級国民、下級国民とは?
上級国民・・・政治家や官僚、経営者や富裕層
下級国民・・・上級国民以外
「上級国民」と「下級国民」が分断された原因のひとつが「知識の量」です。
知識がないから学歴が低く、それによって収入も少ない・・・・。
当たり前の話のように思えますが、普段はあまり意識しませんよね。
だからといって「上級国民=幸せ」「下級国民=不幸」という図式が成り立つわけではありません。
ただ、そういった傾向になりやすいのもまた事実。
よっぽと何かしらのこだわりがない限り、下級国民に自分からなりたい人なんていないですよね?
そして、知識が少なく、それによって「下級国民」になってしまうのは自己責任だと橘さんはおっしゃってます。
すこし酷だと思いましたが、本書を読み進めていくうちに、納得せざるを得ませんでした。
それは、現代社会が努力次第では「下級国民」にならないようにできるからです。
世界的に分断されつつも、少数の「中級国民」そしてあわよくば「上級国民」に食い込む。
それに向けて努力しないのは明らかに怠慢であると僕は解釈しました。
また、なによりの本書のみどころは、 「上級国民」と「下級国民」の真実だけではなく、今後の世界や日本がどういった流れになっていくかも教えてくれるところです。
サブタイトル通り、「上級国民」と「下級国民」がやっぱり本当だったと結論づけたうえで、
今後の僕らの生き方を提案してくれています。
ちょっとネタバレになりますが、知識とは別に「評判資本」を作るということです。
本書では、SNSなどで多くの人を集められる「インフルエンサー」が挙げられてます。
今後はもっと別の「評判資本」ができるかもしれませんね。
まとめ
令和の時代になっても、テクノロジー、社会の流れは確実に変化し続けていきます。
いつの時代も、未来がわからない以上は不安になるものです。
「上級国民」と「下級国民」が本当に存在し、今後も2極化が進んでいくことは明白です。
しかし、今後も「下級国民」で居続ける、「下級国民」になってしまうのは怠慢です。
本書はそうならないためにも知識がいかに大事か教えてくれる素晴らしい一冊です。
「下級国民」にならないため、抜け出すためにも本を読んで知識をつけていきましょう!
以上
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