民間の住宅ローン借り入れの際に必須の団信(団体信用生命保険)。
「フラット35」以外で組む場合は必須の団信ですが、保証内容はいくつもあります。
住宅ローンに詳しい人を除いて、多くの人にとって団信の種類はわかりにくいものです。
そこで今回は、
- 選択肢が多くてどの団信を選んでいいのかわからない
- 少しでもお得な団信に加入したい
という人に向けてわかりやすく解説していきます。
本記事は、あなたにとって最適な団信プランを選ぶのに役立つ内容となってます。
団信の基本から知りたいという方は↓の記事をお読み下さい。
団信の種類を比較

団信の種類は、金融機関ごとに取り扱う種類が違いますし、1つの金融機関内でも種類がいくつもあります。
まず、団信の種類を挙げてみます。
- がん保障付き団信
- 3大疾病保障付き団信
- 新3代疾病付き機構団信
- 7大疾病保障
- 8大疾病就業不能保障
- 11疾病保障団信
- 全疾病就業不能保障
- 団信革命
- 全疾病保障奥さまワイド
上記で9種類あります。
「種類が多い」と思う人もいるかもしれませんが、要点を簡潔に解説していきます。
がん保障付き団信
適用条件 | がんと確定診断(検査結果を踏まえ、最終的に医師ががんと判断した場合 |
がん50%保障 | 保険料は無料、取扱銀行はじぶん銀行、ソニー銀行 |
がん100%保障 | 金利0.1~0.2%上乗せ、取扱銀行はじぶん銀行、ソニー銀行、みずほ銀行 |
上記のとおり、がん保障付団信は「がん50%保障」と「がん100%保障」の2種類があります。
保険金が50%、100%という意味になるわけですが、それぞれ保険料が異なるのが特徴です。
50%保障の無料はかなりありがたいですよね。
100%の場合は、おおよその保険料は100万円ほどです。(借入3000万、35年ローン)万円です。
万一のときのことを考えると、住宅ローンの返済が免除になる団信の方が得だといえます。
金額の面において、生命保険は団信の1.5~2倍前後になりますが、自分の条件で一度見積もりをしてみるのもいいでしょう。
→【住宅本舗】まずはシミュレーションから
3大疾病保障付団信
適用条件 | がんと確定診断されたのに3大疾病が当てはまった場合 |
保険料 | 金利に0.3%上乗せ |
取扱銀行 | ソニー銀行(0.2%)、みずほ銀行(0.2%)、りそな銀行(0.25%) |
3大疾病とは、「脳卒中、心筋梗塞、所定の状態(60日の労働制限など)」のことです。
上記のグラフのとおり、多くの場合は、がん保障付き団信(100%)の0.2%に上乗せされ、合計0.3%の金利になります。(金額で約160万円ほど)
3大疾病保障付団信は、生命保険の3大疾病の保険料とは、ほぼ同等です。
受け取れる保険金の額は人それぞれ違うので、見積もりを取って検討していきましょう。
→【住宅本舗】まずはシミュレーションから
新3代疾病付き機構団信(フラット35)
適用条件 | 3大疾病保障に加え、身体障害や介護状態になった場合 |
保険料 | 金利に0.24%上乗せ |
取り扱い銀行 | 住宅金融支援機構の「フラット35」 |
こちらの団信は、住宅金融支援機構の「フラット35」に加入すると利用できます。
ただ、各診断にも条件があるので、加入を検討する際はきちんと把握しておきましょう。
- がん・・・確定診断
- 心筋梗塞・脳卒中・・・手術や60日の労働制限など
- 介護状態・・・要介護2以上
- 身体障害・・・1級、2級への該当
- 3,000万円借入、35年ローン・・・保険料約130万円
生命保険と比較した場合、団信に加入した方が得になる傾向が高いです。
フラット35は、民間の3大疾病に比べて、上乗せ金利が低く、保障範囲が広いことがわかります。
とはいえ、金利水準や審査条件がフラット35と民間ローンでは違ってくるので、総合的な数字で判断していきましょう。
→【住宅本舗】まずはシミュレーションから
7大疾病保障
適用条件 | 7大疾病・・・がん・心筋梗塞・脳卒中(三大疾病)+高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変になった場合 |
保険料 | 金利に0.3%上乗せ |
取り扱い銀行 | 三菱UFJ銀行 |
適用条件は上記の病気になった場合ですが、支払い免除には規定の条件があります。
- がん・・・確定診断
- 脳卒中、心筋梗塞・・・入院
- 4つの生活習慣病・・・就業不能状態が30日超続く場合
4つの生活習慣病については、最長1年間支払い額が補償され、さらに1年超続けば、支払いが全額免除されます。「働けない状態」が1年以上は続く必要があるということなので、ハードルは高めです。
7大疾病と同じような内容を扱っている保険会社はなく、複数の保険会社の補償を組み合わせたとしても、団信の方が得でしょう。
8大疾病就業不能保障
適用条件 | 7大疾病+慢性膵炎 |
取り扱い銀行 | 楽天証券(無料)、イオン銀行(金利上乗せ0.3%) |
イオン銀行の場合、7大疾病補償と同じようにした保険の組み合わせよりも安くなります。
つまり、生命保険会社で7大疾病以上の補償を検討しているのなら、団信の方が得ということになります。
楽天銀行は無料ではあるものの、その分、住宅ローン免除の条件は厳しいです。
イオン銀行は、脳卒中と心筋梗塞が所定の状態の60日以上継続なのに対し、楽天銀行は、8大疾病すべてにおいて12カ月超働けない状況が続くことが条件など非常に厳しいです。
ちなみに、支払い免除の条件は、補償範囲が狭くなる分、7大疾病補償の方が免除条件は緩くなります。
金利差が金融機関ごとにほぼないので、慢性膵炎になるリスクを気にしなければ、7大疾病補償で特に問題はないでしょう。
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11疾病保障団信
適用条件 | 11大疾病・・・8大疾病+大動脈瘤および大動脈乖離、上皮内新生物、皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんなど |
保険料 | 金利に0.3%上乗せ |
取り扱い銀行 | じぶん銀行 |
補償は充実しているものの、「180日以上の入院」という要件もあります。
半年以上も入院することを考えると、割り安の3大疾病の方が免除されやすい条件ということで安心です。
全疾病就業不能保障
適用条件 | 精神障害を除く病気や怪我 |
保険料 | なし |
取り扱い銀行 | 住信SBIネット銀行 |
上記のとおり、精神障害を除くどんな病気や怪我でも、ローンの返済が全額免除されます。
それまでの間は、毎月のローン返済額が補償されます。
ただし、一定期間働けなくなった場合が対象です。
「脳卒中や心筋梗塞で手術を受けた」などのケースは対象にならないので注意しましょう。
一定期間は返済額の補償はありますが、全額免除は、就業不能状態が12カ月超続いた場合です。
「がん→手術→3ヶ月後に職場復帰」
などの場合は対象にはなりません。
返済免除の条件に不安がある場合は、他の団信の検討をしましょう。
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団信革命
適用条件 | 3大疾病の保障に加え、所定の身体障害状態になったとき、要介護2以上の認定をうけた場合 |
保険料 | 金利に0.3%上乗せ |
取り扱い銀行 | りそな銀行 |
全疾病保障奥さまワイド
適用条件 | 8大疾病を含む病気や怪我 |
保険料 | 金利に0.4%上乗せ |
取り扱い銀行 | 静岡銀行、三井住友信託銀行 |
こちらの団信は8大疾病以外の病気や怪我でも就業不能状態が1年超続けば、住宅ローン残高がゼロになります。
また、下記のような保障もつきます。
- 上皮内がん・皮膚がんの診断で30万円
- がん先進医療保障1,000万円(通算、1回の治療は500万円まで)
- 妻が女性特有のがんと診断されたら100万円
- 本人・家族が交通事故の怪我で入院したら1日あたり2,500円妻が女性特有のがんと診断されたら100万円
上記はあくまで一例ですが、団信の中ではもっとも保障が手厚いです。
ただ、生命保険で同じような内容をカバーする場合に比べれば割りやすなので、現在、生命保険に加入している人は解約して団信に乗り換えるという選択肢も良いでしょう。
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民間の保険よりは団信

これまで解説してきたとおり、団信と同じような保障内容を生命保険会社に適用した場合、保険料が割高になる可能性が高いです。
団信の場合、健康告知という健康状態を調べる審査がありますが、特に審査に問題がない人なら、団信に入った方がトータル的にはお得でしょう。
自身の健康状態を一度調べてみて、その結果からリスクを考慮して検討していくことが必要です。
おすすめの団信プランは?

日本では、3人に1人ががんになるといわれていますし、若い人の発症はがんの進行が早いです。
そのため、最低でもがんの保障はつけることをお勧めします。
50%か100%にするかは、借入額や、世帯収入の状況から判断していきましょう。
毎月の家計を圧迫しない範囲内での加入が望ましいです。
それ以上の保障に関しては、返済に余裕があれば、加入を検討したいところですが、比較的若いうちにローンを返済していくというのも一つの手段です。
団信に入れない場合は?
団信で寿命がある場合でも、金利を上乗せすることで加入上限が緩和する団信もあります。
それでも、加入が難しい場合は、「フラット35」に申し込みするという選択肢があります。
「フラット35」は、団信の加入が義務ではないため、健康状態で契約を拒否されることはありません。
万が一の保障のために、団信の代わりに民間の保険会社が提供する「引受基準緩和型保険」を検討してみましょう。
審査条件が緩い分、保険料は高くなりますが、糖尿病や高血圧などの持病があって、団信で審査が通らなかった場合でも加入できる場合があります。
まとめ:プロに相談

団信に加入する際は、さまざまなことを検討していく必要があります。
健康状態、金利、トータルの返済額、保障内容など。
本記事を読むことによって、大枠は理解して頂けたと思いますし、他の「住宅ローンカテゴリー」の記事を読めば、さらに住宅ローンについての知識が深まります。
ただ、やはりどんな人でも自分だけで判断するには限界があり、第三者の意見も聞くことも重要です。
不動産業者や取引先の金融機関に相談するのもいいですが、どうしても自社の商品を勧める前提の話になってくることも否定できません。
なるべく客観的な判断をするためにも、複数の金融機関や商品を検討していくことが必要です。
→【住宅本舗】まずはシミュレーションから
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